きえもの

きえもの 162

先生との事⑩ -浙江省の旅③-
 
 チョイ悪君が上海に現れた理由は「日本の友人が入国したから」です。ビザはそう簡単に下りませんし、入国しても2週間の隔離。その後7日間その地で経過観察を経て、ようやく携帯アプリを使ったグリーンパスが交付されます(写真1)。このパスには現在の滞在場所が登録されていて、登録地域内で感染者が出ると、赤色に代わり地域単位で即刻隔離されるとのことです。他の省に移動するときは改めて申請をしてその省のパスを取得するとのことで、以前のように気楽な中国旅行など程遠い厳重さ。食事など入店時にも提示を求められるそうです。チョイ悪君から友人の隔離生活中の写真を送ってくれました。部屋の前には台が置かれ、食事が置かれます(写真2)。食事を取り入れる時とゴミを出す時だけドアの開閉が出来ますが、廊下に出ることはできません。半面室内は快適。食事内容も変化があって味も良し。難を言えば量が多くて食べ過ぎで、入国時より太ってしまったことだとか(写真3)。
 
 嘉興には浙江省三大名湖の1つ「南湖」があります。明代湖底の泥を積み上げて作られた人口島「湖心島」に「煙雨楼(エンウロウ)」があります。湖心島には遊覧船で渡ります。昨晩遅くまで「天籟閣」探索に奔走し、一夜にして龍洲先生の信頼を得た敏腕ガイド「斯(ス) 海涛(カイトウ)」さん。「立て板に水」とはこの事かと思う澱みない流暢な日本語です。彼がこの後、私の運命に大きく影響するとは夢にも思っていませんでしたが(写真4)。
 
 璞社の大先輩からのご助言で「古鎮狂」などと名乗っていますが、この頃は古鎮とは何なのかを知る由も無く、その魅力に引き込まれるなど想像すらしていませんでした。春の花が咲き乱れる南湖を後に向かったのは、江南水郷古鎮の代名詞ともいえる「烏(ウ)鎮(チン)」です。烏鎮はその規模と大きさ。そして美しさから、中国全土にその観光資源としての重要さを知らしめました。古鎮区域に入ると商店街に並行してクリークがあり、所々に石の小橋が掛かります。手漕ぎの木造船から街を眺めながら遊覧するのです。橋の上から「北條エエ眺めやろ」と街を眺めておられた先生を思い出しました(写真5)。


写真1
これが何よりの身分証明証。我が国のとは大違いのアプリ。

写真2
入国者をベストな状態で隔離する設備数の問題もあり、容易に入国は出来ません。

写真3
これを日に 3回。確かにたっぷり過ぎる食事。

写真4
「話し出すと止まらない」という彼の事をこの時私はまだ知らない。

写真5
古鎮狂の始まりはここからでした。