きえもの 160
先生との事⓼ -浙江省の旅①-
「北條、明日朝やったら梵におるで」先生と急ぎ打合せしないといけない時に何度かこのようなことがありました。南田辺本通商店街の入口近くにある珈琲専門店「梵」先生が毎朝通われた店です。山坂神社からも歩いて数分。先生の作品が街中に溢れています。カウンター一番奥が指定席。先生の作品が店内いっぱいに掛かっています。「先生が来はれようになって寂しいてかなわん」というママとの思い出話に、飛び切り美味い珈琲を頂いていると、いつもの席で新聞を読む先生がいらっしゃるようでした(写真1)。
2008年4月1日。龍洲先生の誕生日に浙江省縦断の旅が始まりました。が、旅行社と異常なほど打合せをしたのに今一つ信憑性が無く「ホンマに大丈夫かいな?」という不安のスタートでした。もともとこの計画は龍洲先生のご提案で、先生から「やれるか?」と聞かれ何の根拠もなく「やれます!」(これは私の悪い癖なのですが)と受けた事が始まりです。
募集に際し龍洲先生のご口上は「中国全土で知られる名店五芳齋の本店で粽を食べましょう!」(多分こんなお話をされたと思います)とはいえご参加いただいた皆様も「粽を食べよう!」というだけで決して集まられた訳ではなく、江口、川村両先生と旅をし、時間を共にする事が楽しみでご参加いただいた事に間違いありません。
到着地上海からバス移動で到着したのは嘉興。ちょうど上海と杭州の中間付近です。粽と清朝時代の画家で書家の「蒲華」の出生地です。まずは美術館へ「なんも無いなあ~」と先生「以前はあったのになあ~」と龍洲先生。江南の文人美術など分かる訳も無い私の頭の中は粽だけ。美術館の真向かいに五芳齋の本店があります。先生も早速召し上がられました(写真2,3、4、5)。
今回のコースについては旅行社も実のところ手を焼いていて「ガイド料が高いが現地に精通した腕利きのガイドを用意したから安心して」と聞いていました。その彼との出会いが後日私の人生に大きく影響することになるとはこの時予測すらしてはいませんでしたが。
写真1
開店 50周年の記念に書いて頂いたそうです。
写真2
期待外れか少々残念そうなお顔です。
写真3
蒲華美術館の前で。
写真4
操業時天秤棒で担ぎ粽を売っていた頃の像。
写真5
夕食前なのですが食べない訳にはいきません。