きえもの 158
先生との事⑥ -四川省の旅②-
「いつまでもあると思うな親と金」母親に良く注意されました。大切さを理解せず、気付いた時はもう手遅れなのだと感じる事が今も私には多いのです。2月の上旬に行われる「大平寺」さんの「筆供養」。江口先生の書かれた「筆塚」があります。先生がお参りされていた頃は殆ど行かなかったのに、いらっしゃらなくなると無性にお参りしたくなりました。供養する筆が無いとやはり気まずいですから、これからは心を入れなおして「沢山供養して頂けるように書かないと」と。手遅れになってまた気付きました(写真1)。
目いっぱいが売りの旅。日中分刻みでウロウロして夜もなお頑張ります。四川名物「川劇(センゲキ)」。劇中のメインは瞬時に仮面が変わる「変臉(ヘンレン)」で、仕組みは一子相伝、秘伝とのこと(写真2)。翌朝からは成都を一旦離れ世界遺産「楽山大仏、峨眉山」へ。途中「黄龍古鎮」に立寄りました。露店の花屋で買った花冠を被って奥様との記念撮影です(写真3)。世界遺産に指定されると規制が多くなり「昔はこうだった!」という話になりがち。先生には「大仏には直接登れません。河から船で見物です」とご説明させていただきましたが、本当に残念そうにされていたことを思い出しました。大仏は世界最大で最長の石像。東大寺大仏の5倍の大きさがあるとのことです。全体を拝むには全面を流れる長江の支流「岷(ミン)江(コウ)」と数本の河が合流する激流地点に船を浮かべます。当然揺れが大きいのですが、大仏のその大きさに圧倒され船酔いする人はいなかった?と思います(写真4)。
峨眉山へは麓のホテルに宿泊して朝から登る計画です。先生から「前回山頂で泊まって酷いことになった」とのお話で、麓泊にしたのですが、この後惨状となるとは予測していませんでした。峨眉山は標高3千メートルを超える山頂周辺に多くの名刹のある聖地。中国三大霊山の1つです。ロープウエイで登ります。到着してゴンドラを降りようとする私を敏腕ガイドの王さんが引き止めます「降りて20秒で高山病に掛かるから、ここでゆっくり呼吸して、10㍍を1分ぐらい掛けて歩いて等々」説明するのです。「お世話係の北條さんに倒れられると困るから」とのことですが「ほんなら先に行った人どうなるの?」って。先生は「年寄りは高山病に罹からへん」と仰っていましたが、身動きが出来ない方が多数。お気の毒なことでした(写真5)。
写真1
石碑の前で筆を燃やしながら供養されます。
写真2
変臉は川劇の目玉。それまでに色々な芸人が出演する。
写真3
お2人とも良いお顔です。
写真4
昔は大仏の頭から足の上まで歩けたそう。
写真5
元気な人は山頂の万仏頂まで徒歩で。酷い霧だった。