きえもの

きえもの 153

先生との事
 
 「北條 お前の文章からはどうにか読んで欲しいと祈るような気持ちが伝わってこない」と。平成11年1月「学生書源」に代わり「みなもと」を発刊するという企画の元、用具のコーナーを担当することになり、原稿をお持ちした際の事です。後日書き直しをお持ちした際には「北條 俺は巻頭言を購読者の半分が読んでくれないかと祈って書いてるんや」とも。いつもやさしい先生の厳しい言葉とお許しが出ない状況に「どうしたものかと」悩んでいても、初めての締切日は近づいてきます。行き詰る中「読んでもらえないなら見てもらおう」と写真を入れてお持ちしました。先生は「これでええ」と喜んで下さいました「北條 読んでもらえんような文章は書いたらあかん」とも。その後「書源」にページを頂き、まさかこんなに長く書かせていただけると思「っていなかった頃の出来事です(写真1、2)。
 先生との思い出はなんといっても中国の旅。「書源社旅行」と銘打って旅程の計画や、中国の旅行社との交渉等。中国など過去に1度しか行ったことの無い私が全てを行うなど思ってもいませんでした。
2005年3月福建省厦門周辺を旅する計画が初めてです。厦門(あもい)に着いてまず行ったのが裏通りの露店市場。夕食の買い物をする人の多さにスーパーでの買い物に慣れた私は息を呑みました。道すがら買った肉まんをペロリ。とても嬉しそうでした。以後旅行でのシーンを思い出すに、先生は街角で買った地元の人が普段食べる物がお好きだったようです。幼少のころを中国で過ごされたこともあり、中国の空気を吸われて大いに書作のエネルギーにもされているように感じました(写真2)。
厦門を後にして訪れた泉州市。中国最高峰「泉州木偶(でく)劇団」を訪ねました。この劇団のメンバーは後に北京オリンピックの開会式に登場した程です。泉州は興味深い街でした。「張瑞図読書処」や空海入唐の寺「開元寺」等記憶に残る名所が多くいい旅でしたが、到着日はさすが南国25度超え。翌日から10℃を切る震える寒さ。数百年振りの寒波だそうで「さすが江口先生!」と現地ガイドさん。兎にも角にもこの旅から私は中国にグッと引き寄せられることになるのです(写真3、4、5)。


写真1
1度受けたら 5年は続けろよ」と先生。でも 20年にもなりました。

写真2
私からすればどんなご馳走よりこんなのが 1番美味い!

写真3
何人もで 1つの木偶を操る見事なテクニック。

写真4
張瑞図読書処横の雑貨屋街。どこでも買い物大好き。

写真5
高野山でお世話になった私にはより深い思い出になりました。