きえもの

きえもの 152

中国の名園①
 
「三密に注意!」ということで、全国中書展の開催が延期や中止になりました。展覧会が中止になると紙も墨も消費量が確実に減りますから、私内心ハラハラしています。仮に何年もこんな状態が続くと・・・。「どないなるんやろか」不安の続く中、日展開催のニュースが聞こえてきたことは本当に嬉しいことです。私思うのですが、美術・書道展会場の方が入場者もコントロールし易いでしょうし「うわぁ~この作品メチャエエ」と思っても、大騒ぎするようなこともないでしょう。本来換気が悪いような美術館は無いだろうと思うのですが。この秋からは心のエネルギーのためにもドンドン再開して欲しいものです。
そんな中物議の「Go Toトラベルキャンペーン」そのまま訳すと「旅行に行け!キャンペーン」だと聞きました。英語は主語が無いと命令形。命令形で短い表現にした方が分かりやすい表現になるからでしょうか?新型コロナの感染拡大。ここまで来ると「どうせ行きつくとこまで行かないと収まらないから!」ともとれるこの政策。近い将来間違った判断となり、多くの犠牲を出さないことを祈っています。
さて本題。古鎮散策以外で探して行くのは庭園です。日本庭園同様中国の庭園にも造り方の基本パターンがあります。違うのは日本の庭が「自然そのままを取り入れる」ことに重点を置いているのに対して、中国の庭園は「自然と建物の調和」がテーマになっていて、建物と植物庭園が合わさってまるで1つの絵画になるように設計されます。建設時には木も苗でしょうから、大きくなったときのことを想像して組み合わせたにも関わらず、あんなにしっくりするのは、中国人ならではの感性が発揮されています。
 以前にも取り上げた私の大好きな庭園の1つである、个園は春・夏・秋・冬を表現しています。「中国四代名園」の1つと呼ばれています。特徴は小さな庭をいかに大きく見せるかということに工夫がされていることです。岩や庭園技術を存分に生かして、春は筍、夏は滝、秋は月、冬は雪の音が各エリアで表現されています。春はやはり生物の息吹を感じる季節ですから、干支の動物が表現された岩が配置されていて、動物達が庭を駆け回わっています。ガイドの呉さんは「ここの廊下は世界で一番長いのですよと言います」「どうして?」と訪ねると「廊下の端から端まで歩く間に、春が夏に、夏が秋に、秋が冬に、冬が春になるまでかかるのだから」とのこと。なるほど歩き疲れるのも仕方がない。ここは何度も訪ねていますが散策後に邸内食堂で飲むビールが最高です。


写真1
来客に芳香を味わってもらうための金木犀のアプローチ。

写真2
塀をくり抜いた向こうの塀越しに、また別の世界を見せる。

写真3
「亀甲羅竹」亀の甲羅のような竹。庭に多い竹の字に似た个字を園名にした。

写真4
恭兵の干支。牛の形の石。

写真5
呉さん。1時間の案内。日に8回の時もあるそう。かなりハードな仕事です