きえもの 143
三山①―鎮江
チョイ悪君の知り合いでチョッと偉い人の夕食会。この主「常に最高の食材を狙っている」なんて怪しい人。朝の連絡で「今日くる日本人はツイテルゼ!」ですって。きっとスゴイ宴会になりますよ。といわれてもそこはチョイ悪君の話。行ってみたら恐怖の白酒(ばいじゅう)パーティだったりすることも多いので、俄かに喜べませんが、今夜は確かにスゴイ!淡水魚最高の食材「鱖魚(けつぎょ)」しかも天然物で60㎝超え。重さも8.5斤(1斤500g)もある大魚など今まで目にしたことがありません。味付けは「紅焼」という醤油ベース、ニンニクと生姜が使われたまろやかでピリッとくる絶品味付けです!10人で挑みましたがとても完食できない手強さ。かなり高価な料理でしょう。招客の我。当然喜びをしっかり表すのが礼儀。終わればやはり前後不覚状態は免れませんでした(写真1)。
鎮江は三国時代呉の孫権が都をおいた場所。この地の名所「三山」。以前「三国志赤壁決戦前の同盟」の舞台となった北固山をご紹介しましたが、再び鎮江を訪ねたのは、この三山を一気に巡ろうと狙ったからです。長江に面して中央が北固山。右が焦山で左が金山。その広大な絶景を目にしてしまうと残りの二山も是非とも巡りたくなったのです(写真2)。
朝からまずは北固山。前回見逃した元徳・孫権同盟の立役者名将「魯粛」の墓です。ご存知の通り孔明と共に魯粛の存在が無ければ赤壁の戦いは起こらず、三国の力関係も三国志もきっと違うものになっていたことでしょう(写真3)。
三山巡りを1回で書こうと思っていましたが、突然割り込んだ鱖魚の話が長くなりどうにもならない。いや「きえもの」アドバイザーのチョイ悪君も「三山を一回で?」「なんで?」というノリにおされ、あと二山を次号に書くことにして、より私事に。昨年に開いた私の個展「2009」発表作品の題材の1つにしたのが、この北固山で見た長江を見下ろすように立つ「鐵塔」と「阿倍仲麻呂詩碑」そしてその素晴らしい風景を読んだ乾隆帝の詩。「こんな美しいところがあるのか!」と感じ、再び感動を実は味わいたくて訪ねたのです(写真4、5)。
写真1
大皿からしっぽがはみ出す大魚。
写真2
長江沿い。夏の散策には良い。
写真3
孫権が特にお気に入りの魯粛。大きな墓です。
写真4
阿倍仲麻呂詩碑の裏側。北固山頂上にある。
写真5
乾隆帝と同じく感動!気持ちを込めた作です。