きえもの

きえもの 136

黄金色の地平 ‐興化③-
 
 少々不便な興化。観光の拠点になるのが毎度の揚州。今宵はチョイ悪のツレで、金持ちで気前のエエ「もっとチョイ悪君」が「晩御飯をごちそうしてくれる」と、連絡が入りました。彼にはよくゴチになっているのですが、食事後の飲みが長く過酷なので少々恐怖でもあるのです。招待してくれたのは昔の街並みを再現した東関街。中国4大名園の1つとされる个園横にある、胡仲涵氏の屋敷跡「胡氏宅第」見るからに高そうな店です。「今晩は帰らしてもらえんな」と顔を見合わせおびえる我ら。しかし部屋に入るとメチャ安堵。というのも迎えてくれたのはもっとチョイ悪君の会長様。「今日はどうしたん?」と私「たぶん会長様へ懺悔の晩飯ですよ」とツレ。いずれにしても非常に和やかで豪華な夕食をいただきました。もちろん2次会も無くすぐ終了。拍子抜けした我らは「もうチョッと飲む」と巷にある場末の飲み屋に(写真1・2)。
 前号までご紹介の興化は数年前の夏に訪れたもの。ここの名物は1に鄭板橋、2に素晴らしく美味い食べ物。そしてと言われた地平の果てまで続く「菜の花畑」。当然真夏に菜の花はなくただの畑でした。「もう1回春にこなあかんな」とツレと誓ったのです。他と違って自然物はこちらが日程を合わさないとどうにもなりませんし、この地の話は既に連載中でもあり「本号に入れるには4月頭か」ということで急ぎ訪れました。
我らの計画を昨晩聞いた地元民のもっとチョイ悪君が「俺も行ったことない。車用意するから一緒にイコ!」と連れてきてくれました。高台から望むと地平線の果てまでがイエロー!単なる畑ではなく水田に浮かぶ小島の集合体で形成されていて、その中を小舟と徒歩で散策できるのです。きっと忘れることのできない素晴らしい春の1日でした(写真3・4)。

写真1

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邸宅の1室を貸切っての食事。
写真2

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名物肉団子。スープの味も最高。
写真3

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感動の風景。
写真4

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手漕ぎの小舟で散策します。