きえもの

きえもの 131

〈中国ゴールデンコース〉
極寒の北京・洛陽・西安③
 
 田舎町孟津にある「王鐸故居」は聖地。皆さんがいつまでも居たいのは分かりますが、私が引上げにしくじりました。洛陽の初日は「白馬寺」そして「洛陽博物館」。2日目の午前中に「龍門石窟」を見て午後西安に向かう予定です。初めて来る人には絶対定番で、見逃すなど大クレームものです。されど故居を離れたのはもう昼に近く、洛陽市内に帰るだけで1時間はかかります。大いに焦る私を無視し「白馬寺よりも洛博よりも・・・」毎度の勢いで持論を語りだす斯氏。予定の昼食場所をキャンセルする現地ガイド黄春栄女史。実はこの2人旧知のガイド仲間。もう自分たちの独断でコースを決めています。無理矢理連れてこられた「龍馬負図寺」。「河図洛書」を作り「人文の祖」ともいわれる「伏羲」を祀る中華易学発祥の地。非常に格式の高いお寺でした(写真1、2)。
 「ホントは外国人旅行者をご案内するところではないのですが」と女史に言われ「ウソでも連れて行って!」と即答。皆さん顔を見合わせ機嫌が良くなったのが、洛陽名物スープ料理の根幹をなすという名店「鉄謝李松祖伝羊肉湯」山羊汁屋です。「非物質文化遺産」とまで看板に表記。店前の異様な現地人の出入りに只ならぬものを感じました。伝え聞くところによると、日本軍がこの地を攻めた際、何をおいてもこのスープの素を持って逃げたと言われるほどの大切にしてきたのだそうです。
 店内に入ると人と湯気が溢れます。外は氷点下8℃。既に数時間ウロウロしている我らはもう動物的です。暖かい山羊汁にナンのようなパンを細かくちぎって浸けて食べます。味付けに何の飾り気もありません。塩味がベースです。もうただただ美味い!円卓を囲み無言で食べる人々で溢れ、誰もが満足そうです(写真3,4)
 山羊汁屋の正面には、洛陽周辺に合わせて約30か所はあるという漢陵の1つで、後漢初代皇帝「光武帝」の墓があります。別名原陵とか劉秀墳とも呼ばれます。皇后「陰麗華」との共同墓地です。こんな陵が大そうな飾りつけもなく普通にあるあたりが「文明の全ては洛陽にあり」と言われる所以でしょう(写真5)。

写真1

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入口にある龍馬像。
写真2

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64卦もあるという周易経文。
写真3

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足早に暖かい店内に入る。
写真4

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まさに飯を食う!
写真5

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漢代ものは痺れます。