書具よもやま話

書具よもやま話 49

新商品『美瑛筆』

 筆と紙には相性があるようです。近頃の展覧会でよく使われる「源空」のような滲みの少ない紙に兼毫筆で書くと、筆に墨が多く含まれているときは動きが良くて書きやすいですが、反面墨が少なくなると、紙に跳ね返されるような、紙面を上滑りする感じを受けることがあります。
一般的な兼毫筆は強い弾力を求められることもあり、主たる毛の質は羊毛のように細く柔らかい物に比べると太く固く、保墨する力が弱いのです。といって羊毛を混ぜ込むと弾力が弱くなり書き味が変わってしまいます。そこで紙と接着する表面部分の羊毛を多くすることで、保墨性を高めるように作られたのが『美瑛筆』です。使い始めは少し柔らかい感じがするかもしれませんが、すぐに弾力が増します。滲みの少ない紙との相性は上々のようです。ぜひともお試しください。

写真1
羊毛量は(天保山の)約2倍です。