書具よもやま話 46
作品の扱い① 硯は洗おう
『硯は洗おう?』私はしっかり洗っています。そんな方は今回のお話はパスしていただいて結構です。偉そうなことを言っている私も実のところ、学生時代に墨液を使い残しの墨でカピかピになったところに、足すような不精をしていましたから。でも案外恐ろしいことになるのです。
表具前の作品の点検で必ずすることは、作品の表裏を手で擦ること。写真はそこで見つけたもの。使い残しの墨の結晶が線上にこびりついています。時によってこのかけらが作品のシワを伸ばすために吹く霧で、剥がれ落ち作品を汚してしまいます。
なんで汚れたのかわからない時期もありましたが犯人はこの結晶でした。
これから寒くなります。ついつい億劫になりますが、頑張って硯はしっかり洗ってください。
○の中にあるのが見えますか。