書具よもやま話 27
鈐印(ケンイン) ⑤ ―印泥をつける―
印に印泥をつけるときグニャグニャしてつける癖の方おられませんか(写真1)。そう、認印でやるみたいに。認印も雅号印も鮮明に印影が出ないといけない訳ですが、こうすると印泥が必要以上につくので、とんでもないことになりがちです。特に白文(線の白い)印などは印影というより最悪、赤く塗った部分になってしまいます。「じゃあどうすりゃいいの?」という声も聞こえてきそうですが、実は印泥をつける工程が一番難しいと私は思います。
印泥は表面を軽くリズムよく叩くようにして均等につけましょう(写真2)。コツは?残念ながら練習していただく以外ありません。できれば1日。いや1時間じっくりと押す練習をしてみてください。
あるとき江口先生が押された印が薄めだったので、「少し薄いですか?」と伺ったことがあります。先生は「色の種類が色々あるように濃淡をつけることも作品効果に影響する」とおっしゃいました。深い話でしょう。ということは印の大きさは?デザインは?江口先生の作品、本当に多くの種類の印をご使用です。印を含めて作品は完成です。かっこよく印を押しましょう。
写真1
写真2