書具よもやま話 18
冬の対策
寒い時期は墨が粘って書きにくくなります。固形墨の主たる成分は膠ですから冷えると煮こごりと同じ状態になるのです。部屋は暖かくしても硯は冷たくなっていることが多いのではないでしょうか。
硯はコタツや、お湯に浸けてゆっくり暖めると良いですが、どうしても時間が経つと冷たくなりますので、私はホームセンターなどで市販されている座布団大のホットカーペットを使用しています(写真1)。ただこの場合も硯が冷たいままではあまり効果がありません。「そんな時間は無い」という方は、熱伝導の良い市販のプラッスチックや金属製の墨地を使われると改善されると思います。以前江口先生は耐熱コップに熱湯を入れて墨の中に浸けて調整されておられました(写真2)。注意をしなければならないのは、湯気が出るほど暖め過ぎないことです。
【書源社販売の書道液源は、極寒地でも粘りにくいように調合されていますので、冬場の作品制作には効果があります】
写真1
写真2