中国よもやま話 93
― 中国食べ歩き ‐古鎮めぐり⑰―
なんと言われようが私は臭い物好き、果物の王様ドリアンも南紀新宮名物十年物の秋刀魚のなれ寿司も大丈夫。紹興や杭州に立ち寄れば必ず臭豆腐。そんな臭い物好きの私を唸らせたのが前号ご紹介の臭冬瓜。臭いものは臭わず口に入れれば大概の物はOKですが、こいつはそうはいきません。匂いが鼻腔で循環し、それが旨い、いや臭い!納豆やくさやも好きになれば無ければ物足りない食卓になります。案の定、ご当地の方々は次々に臭冬瓜を摘み食します。斯さん曰く「私は絶対食べられません」ですと、「中国人のくせに!」と罵っておきました。
陳家三退は大きさが約8000㎡。方孝孺の滅十族から逃れた人たちが隠れるため建てたとも言われ、明時代には存在したと説明されました。現状建物は既にボロボロで、老人しか暮らしていないようです(写真1)。若者は都会に出ていきますから、過疎の街は増えるばかりです。しかしここは日本初公開もうちょっと書きたいそこで、「他に何も無いの」と聞くと、「寧海で一番太い牛があるぞ」と道端の老人が話してくれました。では早速と向かう途中に夕食の支度をするおばさんが。話し込むうちに「食べていくか?」と声がかかります。それじゃ「牛を見に行ってから」と返すと「帰りに寄りな!」。これにはガイドの陳さんも驚いて「北條さん変な人ね!」ですと(写真2)。南瓜の煮物は絶品。田舎の味というのでしょうか、ここのご飯は飽きのこない味付け。とすると、やはり中国でも外食は味が濃いようです。中国も昔と違い飽食の時代「中国人はお茶をよく飲むから太らない」というのはウソ。エエもん食べ過ぎるとソリャおデブも増えます。
さて先程の牛の話ですが、私の前の前の仕事は建築業。牛というのは屋根の構造上大切な丸太の構造材の別名だったはず?斯さんがなぜに「牛」と訳したのかはナゾとして、写真の通り見事な牛です。この宗廟の入口には鍵がかかり開けてもらわないと見ることができません。塗装もしっかりされていますから、大事にされているのが分かります。それに対し敷地内にボロボロの建物。「私たちの小学校。30年前には子供で溢れていたのに」まさに過疎。別れ際に唯一知っている日本語がある。というので聞くと「バカヤロー」ですと。意味を教えると平謝りです。代わりに「ありがとう」を教えてあげました(写真3,4,5)。
写真1
老婆と水瓶。歴史を感じます。
写真2
すぐ仲良くなるのもどうかねえ?
写真3
見事な牛。
写真4
大切に護られているのを感じます。
写真5
過疎鎮が急激に増えています。