中国よもやま話

中国よもやま話 64

― 中国食べ歩き ‐春節直前④ ―


 斯宅に去年の夏に初めてお邪魔しました。広い中国で斯先生という友人ができて色々な話をするうちに、彼が生まれ育った場所を見てみたくなったのです。


 前回ご紹介した千柱屋以外にも質の高い建物が点在していて、この鎮がいかに栄えていたかが伺えます。その一端として写真1のような質の高い牛腿を無数に見ることができます。火災時の延焼を防ぐ役割があり江南地方建築によく見られる馬頭塀も、意匠をこらした美しく素晴らしいものです(写真2)。


 鎮の中心部にある斯民小学校は国民党の参謀を多数輩出した名門です。100年を超える歴史のある学校教育の中心にあるのが書道です(写真3)。書道の先生である斯舜厚老師が迎えてくれました。学校の歴史をうかがううちに私が書をすることがわかり記念に揮毫することになりました。


しばらくすると斯先生の幼なじみ斯英成先生がやってきて、「我が家でご飯を食べて行けと」。奥さんがこの地域の診療所をされています。出されたのは自家製特大餃子。味は当然抜群です(写真4、5)。


 日本に帰りしばらくすると斯舜厚老師から作品に印が無いので、近いうちにまた斯宅へ来てくださいと連絡がありました。半年ぶりの再訪のきっかけのひとつになったのです。
さて春節の挨拶に再度斯宅に向かいます。鎮に入る手前の店でなにやら湯気が上がっています。正月用の糕(こなもち)です。白いものとトウモロコシ入りの黄色のものがあります。出来立ては香ばしく思わず一本食べてしまいました。実際は薄く切って煮物やスープに入れて食べます。(写真6)


 斯宅の裏通りです。街に出ていく若い人が多いようで、過疎化は進んでいるようです。玄関に赤い対聯と提灯をかけ新年を迎える準備も整ったようです(写真7)。
斯舜厚・英成のお二人と再会を喜びつつ、駄作への鈐印をしました(写真8)。素晴らしい額装が終わっていて恐縮しました。「夏に満点の星空を肴に飲もうと」。数千㌔離れた場所にこんな友人ができたことは本当に幸せです。











写真1

写真1
牛腿を狙う強盗が多いので、この村ではカメラを設置している。
写真2

写真2
瓦への細工が素晴らしい。
写真3

写真3
書の専用教室
写真4

写真4
一つで普通の餃子の一人前はあります。
写真5

写真5
斯英成ご家族と。
写真6

写真6
一塊単位で買います。
写真7

写真7
写真8

写真8
いざ鈐印。左は斯舜厚老師