中国よもやま話

中国よもやま話 29

― 田舎庶民の足 ―


 上海や北京といった大都会に住む人たちは、日常の交通手段として地下鉄やバス・タクシーなどを使いますが、地方(田舎)ではそうはいきません。
自転車やスクーター、オートバイがなによりの移動手段でしたが、ここ数年急速に普及した乗り物として電動車(電動自転車)があります。価格は一台二〇〇〇元程度ですので、一~二ヶ月分の給料ぐらいです。スクーター型や自転車型など、スタイルもさまざまです。時速一五㌔程度出るようです。


 写真1、2は中国製の電動車ですが、良く見ると大きな文字で「松下」、そして小さい文字で「まつした電動車」と書かれたプレートが付いています。中国ではパナソニックと社名が変わっても、松下ブランドが健在です。
中国では日本製が大人気です。それは機械製品にとどまらず、食料品や衣類にまで及びます。まさに衣食住にかかわる全てのものに対して、価格は高くても品質の高い日本製品を求めようとしています。今でも走行中にビスが折れたり、チェーンが切れたりする中国製のオートバイに比べ、故障が圧倒的に少ないとヤマハ製に乗る友人は言っていました。


 写真3はホンダをはじめ日本製のオートバイを扱う店の写真です。日本製は良質と言うものの、庶民にはまだまだ高価で高値の花です。実際はこのような店でも実物の日本製は展示されておらず、中国製のバイクしか置いていません。看板はハッタリを効かせるためのものかもしれません。それほど威厳があるのです。


 忘れてはいけない乗物に馬やロバがあります。大都会でも私の記憶では二〇〇〇年のはじめぐらいまでは当たり前の光景でしたが、今は見かけなくなりました。ただ田舎の農村に近い街では現在もあたりまえのように見かけることができます。写真4のように整備された車道を悠然と荷物を引いている馬にもそれほど待たなくても合うことができます。


 皆さんも都会だけでなく、ゆったりとした時間を味わえる地方の都市にもぜひともお出かけください。


写真1

写真1
昔、朝の自転車洪水といった光景は電動車に代わっていくのでしょう。
写真2

写真2
でたらめでもこんなプレートを付けると値打ちが出るのでしょうか。
写真3

写真3
代理店なのに店の中には展示車が一台もありません。
写真4

写真4
地方でもあと数年すると消えていく光景なのかもしれません。