中国よもやま話 23
― 江南に遊ぶ⑤ ―
温州市の楽清市一帯に位置する雁蕩山世界地質公園は、インターネットで検索しても、日本語訳のサイトがほとんどみつかりませんし、もちろん日本の旅行ガイドブックでも名前すら見ることができません。しかしながら、中国十大名山の一つにもなっていて、中国人にとっては非常に有名な観光地なのです。
写真1は昨日までの雨がうそのように、晴れわたった雁蕩山です。この一帯は噴火によって隆起した岩山の宝庫で、重なり合った山、奇怪な洞窟、巨大な滝などが存在する上に、昼と夜、見る角度などで風景が一変するという、まさに見学する程に自然の作りだした景観に魅了されていきます。写真2は龍洲先生が福本雅一先生から『龍湫』と改めては。といわれた大龍湫の滝の前でのものです。関西では箕面や那智の滝が有名で、前にすると神がかり的なものを感じる私ですが、この滝は水量が少なく、とぎれとぎれに水が落ちてくるさまは、まさに龍が火を吹いているようにも感じました。
皆さんをご案内する合間に、絵書きさんがいましたので、ちょっと書いていただきました。所要時間五分。楽しい思い出になります。(写真3)
昼食は、宿泊した雁蕩山山荘(写真4)に帰りました。ご当地有数のホテルですが、昼食後ガイドの王さんがバスに帰ってきません。ようやく帰ってきた王さんはカンカンです。聞くと「カードを三回も切られるところだった」。とのこと。カードを使用すると、瞬時に携帯電話にカード会社から、利用明細の連絡が入るサービスに入っていたので分かったそうです。名門のホテルがプロのガイドをペテンにかける。王さんいわく「もうこの国はどうなってるの」。
温州人は「中国のユダヤ人」と呼ばれるほどに商売上手だそうです。日本人には「温州みかん」の発祥の地というとわかりやすいでしょう。この地は田舎ゆえに独自に、自由な経済活動ができたとも聞きました。その賑わいを見るに、街の繁栄ぶりが感じられます。(写真5)
毎回書源社の旅行は多くの出会いと感動があります。次回は少し方面を変えて台湾へ向かいます。皆様とご一緒できますことを心から楽しみにいたしております。
写真1
動物の形に見える岩山や、噴火の際飛んできた丸い岩など、驚かされます。
写真2
『大龍湫』を前で龍洲先生を。滝から落ちる水にすがすがしさを感じました。
写真3
中国の画家が描くと、どうしても私も中国人顔になっているようです。
写真4
後のことを考えない商売をします。もう王さんはここのホテルを使わないでしょう。
写真5
規模は違いますが、上海にも負けない活気のみなぎる街でした。