中国よもやま話

中国よもやま話 14

― 巴蜀の国へ② ―


 人口一〇〇〇万人を超える大都会成都の夜の一番の観光と言えば、四川省の伝統芸能川劇(せんげき)です。その内容は、昔から成都の男性は女性に弱い(女性が強い)とのことで、麻雀好きの亭主が、毎日遅く帰って来ることを懲らしめるところを寸劇にしたものや(写真1)、こころの和む影絵(写真2)に始まりますが、なんといっても見所は変面(写真3)で、役者が顔に手を当てる瞬間に、仮面が変わるのです。


 布のような物でできた仮面が、瞬間的に衣裳の中に入るのだとか、頭の後ろ側に隠れるのだとか、ガイドさんは諸説を説明してくれましたが、実際は一子相伝の秘伝、中国の第一級国家秘密として守られています。観客席には落花生やお茶が出され、秋の夜長の鑑賞は心地よく時間を忘れました。


 今回の旅行は観光スポットが多すぎ、かなりハードな旅程でした。四つの世界遺産ポイントを見て回る上に、川村先生ご紹介で、まさにこれから四川省見学時の重要スポットになる金沙博物館や、重慶市内の観光までも取り入れたわけですから当然ですが、道中一七〇〇年もの歴史があり、蜀地方の伝統的な街並みが残る古鎮があると聞くと、訪ねたくなります。成都から楽山大仏へ行く途中にある街黄龍渓(こうりゅうけい)です。


 昔は成都から船で川を下ると、この辺りで夜になるため、宿場町として栄えたそうで、現在あるほとんどの建物が明清時代に造られ、実際生活されていますので、独特の雰囲気が感じられます。見学しているとおばあさんがやってきました。手作りの花の冠を売っています。一つ二元(三五円)で、皆さんこの旅一番の笑顔?になりました。(写真4、5)
【写真 川村龍洲先生撮影】



写真1

写真1
奥さんが強いのは、この地に限ったことでは無いのでしょうが。
写真2

写真2
細やかな表現をする影絵に,釘付けになりました。
写真3

写真3
後ほどビデオで見ても、瞬間はなぜか見ることはできません。
写真4

写真4
明、清時代にタイムスリップしたような街並みです。
写真5

写真5
花冠を皆で回して写真を撮りました。