中国よもやま話 120
― 中国食べ歩き ‐古鎮めぐり㊹‐斯宅
朝の連続テレビ小説、皆さん観てます?毎度のことながら「べっぴんさん」が失速気味に終了し「次は観ん!」と心に誓ったはずなのに「桑田圭祐」のテーマ曲でまたまた引っかかってしまいました。「ひよっこ」昭和30年代後半茨城県の農村と、オリンピックに湧く東京を舞台にした(らしい)ドラマ。幕末ものと昭和のこの頃ものにめっぽう弱い私。また朝の忙しい時間を縛られそうです。
初泊まりの斯宅村、4星旅館「山海碗山荘」前を流れる川のせせらぎが気になり、夜明けとともに外に飛び出しました。斯宅村の主な収入源は農業。昼夜の気温差が大きく、水の良さが絶品「斯宅高山茶」を生み出します。山に茶摘みに向かう奥さんや、干し野菜を作る人など農村ならではの光景です(写真1,2)。
斯宅村古建築の魅力は、奥地であるが故に存在があまり知られていなかったことから、完全な状態で保存されていること「村の半分が一軒の家」とも呼ばれるのは、何十世帯もの家族が、巨大な建物で一緒に暮らしていることで、谷合に巨大な芸術的古建築が点在する有様は何度みても感動的です。
巨大建築物の代表が清朝の嘉慶年間(1796~1820)に斯元儒によって建築された「千柱屋(せんちゅうおく)」(写真3)。資料によると建物全体の敷地面積約6900㎡(約2100坪)部屋が118室、柱が794本、小路が32本。10の庭園があり、全てが内部で繋がり行き来出来る。要塞のような防衛能力を併せ持った緻密な建物です。複数所帯が一緒に暮らす世界遺産の福建土楼と似てはいますが、外内装に巧みな意匠を凝らしている点が江南地方独特のもので、決して劣らない素晴らしいものです。
「於斯為盛」と彫られた煉瓦作りの門楼。内部見返りの軒下には、全長7m煉瓦彫刻の傑作「百馬図」(写真4)があります。千柱屋に入ると、古の時代にタイムスリップした感覚に陥ります。軒下で勉強する子供の側の壁に「学習」「自力更生」のスローガンに村人の心意気を感じました(写真5)。近代発展凄まじいこの国ですが、奥地に入れば昭和の良き時代の匂いをすぐに感じることを出来ます。古鎮旅の堪らないところです。
写真1
「早(ざお)!」(おはよう!)と声を掛けてくれます。
写真2
浙江省名物筍の干し物が多いです。
写真3
あまりの大きさに圧倒されます。
写真4
百馬ですが色々な理由で53馬しかいません。
写真5
家訓は「休むこと無く、良く働き倹約すること」だそうです。