中国よもやま話

中国よもやま話 101

― 中国食べ歩き ‐古鎮めぐり㉕‐上海


 昔の中国を旅された方々は「その頃全てが古鎮だった」とおっしゃいます。本当に急速に進む近代化で、都会では灰色の街並みを目にする場所も少なくなってきました。上海のような超大都市で昔の建物がかろうじて残っているような地域は旧租界地域。これは別格の建物群でVIPのお屋敷が多く、扱いが違います。北京の胡同のように観光化されていませんと、庶民が暮らす地域は遠目に見ることはあっても、少々危険そうで、ウロウロ出来ません。
 今や上海での時間は100パー仕事。もう観光等ありません(全然名所を知っている訳ではありませんが)。しかし上海は魅惑的な街。ちょっと通りから入ると、良き時代にタイムスリップする場所がまだまだあります。
 いつも印材を買い付けに行く印材屋。始めの頃はチョロチョロ買っていましたが、最近はチョットぐらい客扱いしてくれるようになったのでしょう。汚い売り場で風呂の椅子に座り込、出される印材を「要る、要らぬと」買っていきます。途中から全く関係の無い印材屋の手が伸びてきて、気が付けば「これどうやって持って帰るの?」なんてこともありましたが、そこは身体を貼って持ち帰ります(写真1)。
 そんな印材屋とのある日の商談で「売り場が改装中なので倉庫に来て!」と。そこで連れて行かれたのが上海老街方浜中路から小道に入っていった薛弄底街(写真2、3)にある、何とも嬉しい老朽アパートの一室。「迷ってます。ここ何処?」と知らん顔して入り込みにくい、かなり奥まったところです。「福建省から出稼ぎで印材を抱えて出てきてもう10年。なんとか頑張っているよ」などと女主人は話してくれました。(写真4)
 倉庫の中は印材がぎっしり。頑張ってチョビット金持ちになった女主人。「田舎から家族みんな上海に呼び寄せた。私は字も書けない。子供は良い学校で学ばせたい」とのこと。なんか力が湧きます。家族交代で寝泊まり。「3回泥棒にやられたから」とのこと。住人の共同炊事場。「写真良いか?」と聞くと突然向かいの部屋のおばさんが「ええよ。あんた日本人?」って。話は盛り上がり商談そこそこ、お茶飲め!菓子食え!飯も食うか?大都会中の素敵な田舎時間でした(写真5)。









写真1

写真1
32㎏が2個。他身体に巻き付けたのが20㎏有。
写真2

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何気ない生活の瞬間が良い。
写真3

写真3
アパート前の路地で。
写真4

写真4
棚の上がベット。
写真5

写真5
露天の共同炊事場。