中国よもやま話

中国よもやま話 5

― ベトナムを旅する 2 ―


 ベトナムの通貨はドン。一ドル一二〇円として、約一六〇〇〇ドン。数字が非常に大きいので、お札(最高が五〇万ドン=三七五〇円)を見ているとお金持ちになった気分がします。ただ、外国人向けの店で買い物をすると、請求される金額も大きいので、旅行の最後まで、貨幣感覚がつかめないままでした。


 史跡や名所はほどほどに、今回も市民の生活に関心が高まります。人の多いハノイの市街で迷子になっても大変ですし、範囲も広いこともあり、シクロ(人力自転車)に乗ることにしました(写真1)。目抜き通りを総勢二三人の隊列がハノイの街を走り抜ける姿は壮観でしたが、ハノイ大教会(写真2)周辺の旧市街地、ハノイ三六通りに入るとその状況は一変しました。この一帯はハノイの街の中でも最も古い通りで、小商工業の栄えた場所から、細い通りに名前が付いています。その一つハンバック(銀商品)通りなども、ここにそれらの店がかたまっていたことから付いた名前だそうです。いずれにしても狭い通りに車、バイク、シクロ、人がひしめきあう中を、シクロですり抜ける感覚は未だ味わったことの無い奇妙は感覚ではありました。(写真3)諸外国の援助で開発されるこの街は、上海のように三年もしないうちに風景が一変するのかもしれません。ホコリだらけのこの街の姿が、きっと近い将来には懐かしく思う光景になるのかもしれません。


 ハノイ市民の台所といえるのがハンザ市場です。食料品から衣料品まで取り揃えた、総合市場です。一階は食料品が中心で、威勢の良い声が飛び交っています。二階に上がってみて思わず声が出ませんでした。天井まで掛けられた(ほとんどが)古着の壁が延々と続きその間を見て回るのです。現地に行かないとこの驚きは絶対解りません。(写真4)

写真1

写真1
たのんで運転してみたが、ブレーキを掛けるタイミングがむずかしい。
写真2

写真2
教会の前にかかる電線。街中に秩序なく無数に架かっている。
写真3

写真3
バイクの間を我々のシクロが横切る。足元までバイクが迫ってくる。
写真4

写真4
服に覆われた通路が延々と続く。この国のたくましさを感じた。