書具よもやま話

書具よもやま話 38

筆の寿命④


子供さんを教えておられる先生方は、写真のような筆を日常的に見ておられるのではないでしょうか。お稽古が終わって、筆のキャップをして道具箱に入れる。次のお稽古にはキャップを取って使う。この繰り返し。こんな使い方をしたら、ひどい場合1回の使用で寿命が終わってしまうことがあります。
 「1回で!」嘘ではありません。筆は動物の毛。墨は液体(膠の入った物などはより最悪の状態になります)。乾かぬうちに空気の通らないプラスチックのキャップをして、30度以上の場所で放置したら・・・。分かりますよねえ。夏にお肉を常温の部屋に半日置放置して食べるのは勇気がいります。いや無理です。
 筆先を洗うと、仮に嫌な臭いがしていてもすぐにとれますが、筆軸の中はそうはいきません。一度腐食すると徐々に毛が抜け始め、短時間でダメになってしまいます。筆の使用後はすぐに乾燥させることが最も大切です。



写真1