書具よもやま話

書具よもやま話 26

鈐印(ケンイン) ④ ―印泥を混ぜる②―


前回の続きをどう書こうかと考えるうちに、あれが無い!と探すこと探すこと。印泥を混ぜるヘラは、ようやく1時間程した後に机の引出しの隅から出てきました。いつもならこんな時バターナイフや、拝借してきた飛行機の食事用ナイフを代用して混ぜているのですが、掲載写真用ですのでそうもいかず手間取りました(写真)。

写真1

 印泥は邪魔くさがらず、いや、ヘラについて無くなる印泥をもったいながらずに混ぜましょう。その昔何人かで買った高級印泥。ある日どうも様子がおかしいのに気付きました。印面にネチャッと付いてくるのに「まさか腐ったの?」と。急ぎ他の人にも聞くと全滅状態でした。ただ腐らせずにいたのは龍洲先生「なんでですか!」と伺うと「おれは混ぜてるからな」ですって。かっこいいでしょう。さあ皆様混ぜましょう。


 「混ぜろといわれてもどうしたらいいの」とおっしゃる皆様、確かに解りませんよね。極端にいいますと洗濯機の中の洗濯物が底の方から一方方向に回るように(よけいに解らん・・・。すみません)混ぜてください。よろしくないのは右へ左へとグチャグチャにまぜることです。最後には前回の写真のようにボールのような形にしてください。印泥の表面が生クリームのようにシットリしていればベストです。もしヘラに糸を引くように印泥が付いてくる場合は残念。買い換えてください。また、冷えて混ぜにくいのではなく、カチカチになった物もダメだと思ってください。写真の印泥作家は2週間に一度は混ぜてほしいと言っています。そこまでいかなくても月1回。いや最悪でも使用前とその後に。とにかく混ぜましょう。