中国よもやま話

中国よもやま話 91

― 中国食べ歩き ‐古鎮めぐり⑮―


 またまた私事で申し訳ありません。酒が過ぎた夜など、つい残りの人生を考え、もう少しパッとした出来事が無いものかと、取り柄の無さに落ち込むこともあります。努力の欠片もしない私が悪く、当たり前のことなのですが、そんな人間ほど何事も巡りの悪いのは人のせいで、時には「神も仏も…この間あれだけ賽銭入れたのにクソッ!」とまで、まさに哀れとも思える思考にはまっていくものです。そんな折、10月9日読売新聞文化欄にて編集委員菅原教夫様に『中国よもやま話』を取り上げていただきました。本当に有難うございます。文中より「活写」した内容になるよう頑張ります。それと悪文の数々を16年間もの長き間何も言わず書かせてくださっている江口会長先生と、お読みいただいている皆様に心から感謝とお礼申し上げます。
さて前号からの続き、童氏祖廟の内側です。四合院様式で舞台と中庭、東西に母屋と脇屋があります。この脇屋はかつて方孝孺の祖廟であったとのこと。祖廟内には童衍方老師の対聯が掛かっています(写真1,2)。

ところで「理髪師」という映画をご存知でしょうか。監督は中国を代表する画家の陳逸飛画伯です。2011年5月、代表作「山地風」が競売で油絵として中国最高価格8165万元(当時の日本円で約10億3000万円)で落札されたという人気作家です。陳画伯はファッションの世界でも成功した実業家で、まさに冒頭の私などは足元にも及ばぬ大成功者なのです。「理髪師」は1930年代上海で腕利きの理髪師として知られた男の半生を描いたものです。戦争の多発する激動の時代、上海から地方に身を隠した理髪師。その舞台となったのがこの前童なのです。古鎮の中心部にある「陳逸影院」この中ではこの映画を一日中上映。撮影に使用されたセットも展示されていて撮影当時の様子がうかがえます(写真3,4,5)。映画の撮影は進みますが、天才に不幸が訪れます。2005年4月撮影途中の陳氏は突然死します。原因は仕事による過労死だったと報じられています。制作は続行され、2006年4月に上映に至りました。

人生色々ですが、皆さんは太く短くか細く長くかどちらでしょうか。私は程々に太く長くですかねえ。

写真1

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この建築様式は中国全土でも珍しいものです。
写真2

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この鎮の各所に老師の書があります。
写真3

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街のほぼ中心にあります。
写真4

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昔の講堂を思わせます。
写真5

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撮影時は多くの人がいたそうです。