中国よもやま話

中国よもやま話 38

― 中国食べ歩き⑨ ―


 時期は真夏、上海の裏通りにある辛い料理店でのお話し。


 中国料理と一言でいっても、広い国土を有する中国のこと、様々な地方料理があります。広東や北京料理等は有名です。辛い料理と言えば日本でも知られる麻婆豆腐の四川料理でしょう。中国では縮めて川菜と呼びます。また四川と並べられて辛い料理に湖南料理があります。(縮めて湘菜と呼ばれます)。
中国では辛さには二通りあり、辣(ら-)はまさしく辛い。麻(ま-)は痺れるという辛さです。四川は麻、辣は湖南。本当に湖南料理は耐えられない辛さです。辛い食べ物を好む地方の人たちは、四川・湖南省とも激しい性格の人物を輩出することでも有名なのですが、皆さんご存じの毛沢東は湖南省の出身です。


 今回ご紹介する店は「毛沢東主席の故郷料理」という激辛の店です(写真1)。
 上海に住む中国人しか行かない店ですから、店に入ると独特のむっとした空気が全身を包み込みます。すでに食事をしている人たちは上半身裸です。(それぐらい辛くて汗が吹き出るのです)。テーブルの上を見ると食べ散らかした鶏の骨などが落ちています。日本では考えられませんが、骨や殻などテーブルの上に直接捨てるのが当たり前です(写真2)。
 店に入っても案内もしてくれませんので勝手に席に着きましたが、テーブルの上は油で光っていて小汚いので、服務員(ウエイトレス)にテーブルを拭くようにいったところ、気分を害したのか、拭きながら「何を食べるんだ」と聞いてきました。こちらも「メニューを持ってこい」というと「ちっ」と舌打ちをした後メニューを愛想悪く持ってきて、「早く注文してくれ」とくるので「なにか美味いものがあるのか」と真剣勝負です。結局カエルの辛い煮込みもの(写真3)を中心に注文しましたが、まあ辛い(でもおいしい)。汗が身体から噴き出します。と同時にビールをガンガン飲みます(写真4)。必死になって食べて、飲んでしている私達をみて、今まで無愛想だった服務員が笑顔で「これも美味しいよ」と他の料理もすすめてくれました。



写真1

写真1
ガイドブックには絶対のらない店
それでも名店は沢山あります。

写真2

写真2
湖南・四川料理店では裸になって食べている人をよく見かけます。


写真3

写真3
唐辛子で覆われたカエル料理。一口食べただけで気絶しそうです。
写真4

写真4
どうしてもビールに頼らないと食べることはできません。