中国よもやま話

中国よもやま話 28

― 冬の食材 ―


 日本で冬の料理といえばお鍋と答えられる方が多いでしょうか。中国でも鍋料理(中国では火鍋といいます)が一番にあげられるでしょう。鍋料理に欠かせない野菜といえば白菜です。安価で豊富、ビタミンや繊維質などを多く含んでいることから、極寒で野菜の取れない地域では漬物などにして冬を乗り越えます。普段食する餃子にも多く使用され、白菜無しの冬の食卓はあり得ないともいえます。


 上海の表通りで露店の物売りはほとんど見かけなくなりましたが、一歩裏通りに入ると、露店商人がいまも商いをしています。(写真1、2)地方では都会のようにスーパーマーケットなどはありませんので、野菜をはじめ魚、鶏など食料品から生活必需品まで幅広く売りに来ます。値段も基本的には交渉次第が多いようです。しかしながら、トラックに一杯白菜を積んで、荷台から直接販売しているところを見ていると、お鍋が食べたくなりました。


 今回ご紹介するのは扁炉(ピェンロー)と呼ばれる中国広西省方面の田舎料理です。作り方は極めて簡単で、素朴さが売りです。といって海鮮鍋の豪華さにも負けない美味さ。一度食べると止められません。
材料は白菜、鶏のムネ肉、豚バラ乾し椎茸、春雨、胡麻油、粗塩、一味唐辛子だけです。水を入れ、白菜から胡麻油までを入れ煮るだけです。(写真3)煮込んでから食べるのがこの鍋の特徴ですが、鍋で味付けはしません。各人がお椀に粗塩と一味唐辛子、そしてお鍋の煮汁を入れ、食べます(写真4)。ですから、同じ鍋を食べているのに、各人の味は違うのです。


 日本で扁炉が食べたくなって、インターネットで調べると、詳しい作り方が多数紹介されていたので、早速家族を説得して夕食に。私は独身時代から料理に自信があるつもりですが、最近失敗を繰り返しどうも信用がありません。でも出来上がった扁炉に家族全員無言で食べました。何がいいかわからないのですが、お鍋は後の雑炊も含めぺろりと空でした。




写真1

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上海の路地裏。少し前までは賑やかな青空商店街でした。
写真2

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白菜だけを積み込んだトラック。白菜は本当に良く食べます。
写真3

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大璞特選メニューになるか。食べるのが楽しみです。
写真4

写真4
息子の恭兵です。自分で塩味の調整です。感想は「うまい」そうです。