中国よもやま話

中国よもやま話 15

― 巴蜀の国へ③ ―


 楽山大仏見学の前にご当地名物の豆腐料理の昼食です。大仏見学に来る中国内外の著名人が必ず立ち寄る名店で、東・西洋人がひしめいていました。写真1は見てのとおり孔雀の形にあしらった豆腐で、この店一番の自信作です。薄くスライスした豆腐を並べて、汁がかかっているのですが、箸で取ろうとすると滑ってとれません。どうしてあんなにおとなしく、お皿の上に並んでいるのか。味はコテコテ、激辛料理が続く中さっぱりめで、ほっとする味でした。


 楽山大仏(写真2)は世界最大の石刻座仏で、岷江に臨んでつくられています。洛陽の龍門石窟とロケーションが少々似ていますが、同じ石刻座仏でも、洛陽のものは華やかさが感じられたのに対し、楽山大仏は男性的というか、粗野な感じを私は受けました。激しい岷江の流れを、はるか昔からみている大仏さんの目は優しく、皆さんそれぞれにお祈りをしているようでした。


 翌朝は雨の中、今旅行の中心スポットである峨眉山登頂のため、専用のバスに乗り向かいました。途中の休憩所ではどのバスも車の後ろ側にホースをつないで水を入れています。(写真3)理由を聞くとブレーキが焼けるのを防ぐための水冷装置だそうです。確かに下山時、ロープウエイ乗り場(二五四〇㍍)からいっきに五〇〇㍍付近まで、滑るようにしてバスは下っていましたから得心した次第です。


 山頂にある華蔵寺は別名金頂と呼ばれています。仏殿が太陽の光で金色に輝いて見えることから付けられました。三〇〇〇㍍を超える高地にこれだけのものを建造されていること自体が感動的でしたが、霧の中見え隠れする金色の塔に神秘的なものを感じました。(写真4、5)ただこの付近で私を含め、かなりの方が高山病にかかっていたのも確かですが。







写真1

写真1
豆腐の下にはクラゲのようなものが引きつめられています。
写真2

写真2
世界遺産となった今、近くから見学しにくくなりました。
写真3

写真3
これと同じバスが駐車場に無数に止まっていました。
写真4

写真4
華蔵寺前では線香の煙が、雲のようにひろがっていました。
写真5

写真5
霧の中見え隠れする。普賢菩薩道場、象徴の座仏。