中国よもやま話

中国よもやま話 10

 胡(フ)楊(ヤン)林(リン)さんの『香水(シャンシュイ)有毒(ヨウトゥ)』お聞きいただきましたか。中国の歌も年々欧米化され、歌詞の内容より曲のイメージが先行する感がありますが、私はじっくり聞ける曲が好きです。


 図1は『香水有毒』の歌詞を中国語と日本語で用意しました。まずごらんいただきたいのは、歌詞の内容ですが、これは日本も中国も同じようなものです。


 次に注目していただきたいのは、中国語の歌詞の行末に書かれているローマ字です。中国語の発音記号のピンインを記入してあります。ピンインの最後の部分が共通していることがお分かりいただけると思います。これは韻を踏んでいるということで、中国語の歌はこのことが重要なのです。(この歌はかなり意識して韻を踏ませています)書道で書かれる古典の漢詩の大部分が、この韻を踏んで作られているものばかりです。日本語の歌詞を調和体作品にするのはむずかしいと聞いたことがありますが、漢詩で書かれた歌謡曲は漢字作品には向かないでしょうか。書源で『香水有毒』の作品が発表されるのが楽しみです。


 街の風景が日ごとに変わる上海には、高層の建築物が多くあります。地震のことを考えていないのか、日本では考えられないほど簡単な建て方をしていることも多く、そのためか工期も短いようです。


 写真1は、上海の夜景の主役である東方(チョンファン)明珠塔(ミンチュタ)(オリエンタルパールタワー)です。巨大で、個性的な外観を「嫌い」という上海人も多いようです。
 写真には「東方」の二文字しか写っていませんが、「東方明珠塔」と書かれています。筆者は前国家主席江沢民です。江氏は多くの文字を残していますが、上海市長もしていたことから、この建物にはさぞかし思い入れもあったことでしょう。


 写真2は、東方明珠塔からみえるビルで、私はこの「中国(チョンクオ)海関(ハイクワン)」と書かれた文字が好きです。誰が書いたのかは知りませんが、活字より筆文字がやはり格が上です。
 鄧小平が切り開いた改革・開放の流れを、江沢民が受け継ぎ発展させましたが、その背景には大型の公共工事があり、建築物には当時の指導者の文字が掲げられます。今も右肩上がりで、特徴的な毛沢東の文字は多く残っていますし、鄧小平の文字もたまに見ます。胡錦涛氏はこれからといったところでしょうか。



写真1

写真1
ピンインの末尾がきれいに揃っているのがわかります。
写真2

写真2
派手なライトアップで有名な建物です。
図1

図1
残念なことに、中国でも筆文字の看板は、日増しに減っていきます。